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この記事は英語講師歴20年、オンライン英会話スクール「Coogee English Online」運営の筆者が解説しています。
英語を学ぶというと、多くの人は「勉強」を思い浮かべるかもしれません。単語を覚え、文法を理解し、テストで点数を取る。確かにそれも英語学習の一部です。けれど、英語を長く教えてきた立場から言うと、英語はどちらかというと「旅」に近いものだと感じています。
旅には、さまざまな出会いがあります。思いがけない発見もあれば、迷い道に入ることもあります。時には立ち止まり、「自分はどこへ向かっているのだろう」と考える分岐点に出会うこともあるでしょう。それでも、旅を続けていくうちに、少しずつ見えてくる景色があります。
英語もまったく同じです。最初は小さな一歩から始まり、やがて言葉が通じる喜びに出会い、迷いながらも前に進んでいく。そして気がつけば、以前の自分では想像できなかった世界にたどり着いていることがあります。
これからお話しするのは、英語講師として20年、多くの学習者を見てきた中で感じてきた「英語の旅の道筋」です。英語が話せるようになるまでの道のりには、いくつかの町があります。今日は、その五つの町を一緒に歩いてみましょう。
この記事では、英語が話せるようになるまでの流れを「5つの町」という形で整理しています。今の自分がどの町にいるのかを確かめながら、次に進むヒントを見つけてみてください。
第一の町|英語と出会う町

<第一の町>
旅の始まりには、必ず「最初のきっかけ」があります。英語の旅も同じです。海外旅行で困った経験があったから。映画を字幕なしで見てみたくなったから。好きなアーティストの言葉をそのまま理解したくなったから。あるいは、仕事や進学のために必要になったから。始まりの理由は、人によってまったく違います。
けれど、どんな理由であっても、その最初の出会いはとても大切です。なぜなら、人は「やらなければならない」と思って始めたことよりも、「やってみたい」と心が動いたことの方が、長く続きやすいからです。英語が話せるようになる人たちを見ていても、最初から完璧だった人はほとんどいません。むしろ、「英語ってちょっと面白いかもしれない」と感じた、その小さな火種を大事にしてきた人の方が、遠くまで進んでいきます。
この最初の町では、できるだけ背伸びをしないことが大切です。最初から単語を何百個も覚えようとしたり、いきなり難しい英文を読もうとしたりすると、旅の入り口で疲れてしまいます。大切なのは、「英語に触れることに慣れる」ことです。簡単なあいさつでもいい。短いフレーズでもいい。まずは英語と仲良くなること。それが、この町でのいちばんの目的です。
これは少し照れくさい言い方かもしれませんが、「英語は友達」だと思ってみてください。最初は遠い存在に感じるかもしれません。でも少しずつ付き合っていくうちに、英語は仲間のような存在になっていきます。そして気がつくと、師匠であり、家族であり、相棒のような存在になっていることもあるのです。
ですがまだこの段階では、多くの人が抱える不安があります。それは、「全部わからなかったらどうしよう」という気持ちです。でも、英語は最初から100%理解しなくても大丈夫です。むしろ最初のうちは、全部わからないのが普通です。完璧に理解できるようになってから話すのではなく、わからない部分を抱えたままでも少しずつ前に出ていく。その勇気が、次の町へ進むための切符になります。
英語の旅は、最初の一歩がいちばん大きく感じられるものです。けれど、その一歩さえ踏み出せれば、景色は必ず変わり始めます。最初の町は、まだ地図も読めず、足元も心も少しおぼつかない場所です。でもここで英語に出会えたこと自体が、もうすでに大きな意味を持っています。これは、私も若い頃に経験したことなので、自信を持って言えることですよ。
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第二の町|言葉が通じ始める町

<第二の町>
しばらく旅を続けると、やがて小さな成功体験に出会うようになります。自分の言ったことが相手に伝わった。簡単な質問に答えられた。聞き取れた単語が増えてきた。そうした「通じた」という感覚は、英語学習においてとても大きな力になります。
この町で人は初めて、「英語は机の上の知識ではなく、誰かとつながるための言葉なんだ」と実感し始めます。それはとても嬉しい瞬間です。文法問題が解けた喜びとはまた違う、生きた手応えがあります。ほんの短いやり取りでも、「あ、通じた」という経験は、その後の学習の支えになります。
ただし、この町は喜びだけの場所ではありません。少し通じるようになってきたからこそ、自分の足りない部分も見えてきます。言いたいことがあるのに、言葉が出てこない。相手の言っていることが途中から追えなくなる。もっと自然に話したいのに、頭の中で日本語を組み立ててから英語に直してしまう。ここで初めて、多くの人は「英語って思ったより奥が深い」と感じます。
でも、それは悪いことではありません。むしろ、この壁に出会えたということは、旅がちゃんと進んでいる証拠です。言葉が少し通じ始めたからこそ、次の課題が見えるようになったのです。最初の町では気づかなかった自分の癖や弱点に出会うことも、この町の大事な出来事です。
この段階では、スモールトークのような短いやり取りを大切にしながら、「英語を英語のまま受け取る感覚」を少しずつ育てていくことが大切です。完璧な英文を作ることよりも、相手とやり取りを続けること。立派に話すことよりも、会話を止めないこと。その積み重ねが、英語をただの知識から「使える言葉」へと変えていきます。
言葉が通じ始める町は、自信と悔しさが同時に生まれる場所です。嬉しかった日もあれば、うまく話せず落ち込む日もあるでしょう。それでも、ここで得た経験は確実に次の町へつながっています。旅の途中で出会う小さな成功体験は、あとになって振り返ると、とても大きな贈り物だったと気づくものです。
第三の町|迷いの分岐点の町

<第三の町>
英語の旅を続けていると、多くの人が一度はこの町にたどり着きます。それが、迷いの分岐点です。少しずつ進んではいる気がする。でも、思ったほど伸びていない気もする。頑張っているのに、以前ほどの手応えがない。そんなふうに感じ始める時期があります。
この町が厄介なのは、目に見えて前進している実感が持ちにくいことです。旅の始まりの頃は、知らない単語を覚えるだけでも成長を感じられました。簡単な会話ができるようになるだけでも、嬉しさがありました。でも、ある程度続けてくると、成長は急にゆるやかに見えるようになります。ここで「自分には向いていないのかもしれない」と思ってしまう人も少なくありません。
けれど、英語学習において本当に大切なのは、この分岐点でどう立ち止まるかです。やめてしまうのか。それとも、自分のやり方を見直して旅を続けるのか。この町では、努力そのものよりも、「どこへ向かうのか」「何を優先するのか」を考え直すことが重要になります。
たとえば、ただ何となく勉強を続けているだけでは、同じ場所をぐるぐる回ってしまうことがあります。インプットばかりで話す機会が足りていないのかもしれません。あるいは、自分のレベルに合わない教材で疲れているのかもしれません。旅が苦しくなってきた時こそ、根性で押し切るのではなく、地図を見直すことが必要です。
英語が続かない人の多くは、能力がないのではなく、順番が合っていないだけということもよくあります。何から先に身につけるべきか。何を後回しにしていいのか。そして、今自分はどこにいるのか。その整理と現在地の確認ができると、止まっていた旅がまた動き始めることがあります。
人生にも、分岐点があります。仕事、人間関係、暮らし方。進む方向が見えなくなり、立ち止まる瞬間がありますよね。英語の旅も同じです。迷いは失敗ではありません。むしろ、自分にとって本当に必要な道を選び直すための大切な時間です。この町で立ち止まった経験は、あとになって振り返ると、旅を深くしてくれた時間だったと気づくはずです。
第四の町|試験という関所の町

<第四の町>
旅を続けていると、どこかのタイミングで「自分はいまどのあたりにいるのだろう」と知りたくなることがあります。その時に現れるのが、試験という関所です。TOEICや英検などの試験は、英語の旅において自分の現在地を一つの形で見せてくれる存在です。
試験というと、苦手意識を持つ方も多いかもしれません。点数で評価されることにプレッシャーを感じる人もいますし、数字だけで英語力を決めつけられるようで嫌だと感じる人もいるでしょう。その気持ちはよくわかります。実際、点数だけでその人の英語のすべてがわかるわけではありません。
けれど、試験には試験の役割があります。それは、自分の感覚だけでは見えにくい部分を、少し客観的に照らしてくれることです。「なんとなくできている気がする」「たぶん苦手だと思う」という曖昧な自己評価ではなく、ある程度の基準の中で自分を見られることは、旅を進めるうえで大きな助けになります。
特にTOEICのような試験は、多くの学習者にとって一つの節目になりやすいものです。600点を目指す段階と、700点を目指す段階では、必要になる力も少しずつ変わってきます。ただ単に単語を増やせばいいわけではなく、理解の精度や処理の速さ、迷いを減らす力も必要になります。関所を通るたびに、旅人は自分に足りないものと、すでに持っているものの両方を知ることになります。
大切なのは、試験を旅の「目的地」にしすぎないことです。試験は旅を終わらせるためのものではなく、旅を整えるための目印です。点数が良かった日も、思うようにいかなかった日も、それはその時点の一つの記録にすぎません。関所を通ったからこそ見える景色があり、そこからまた次の道を選び直せるのです。
人生でも、何かの節目に数字や結果で自分を見せられる場面があります。でも、その数字だけがその人の価値を決めるわけではありませんよね。英語の試験も同じです。点数は地図の一部ではあるけれど、旅そのものではない。その感覚を持ちながら関所を通ることができると、試験は苦しいものではなく、心強い目印になっていきます。
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第五の町|自分の英語に出会う町

<第五の町>
旅の終わりにあるのは、完璧な英語ではありません。もっと大切なのは、「自分の英語」に出会うことだと私は思っています。発音が少し日本語っぽくてもいい。言い回しがシンプルでもいい。それでも、自分の言葉で伝えたいことを伝えられるようになった時、人はようやく英語を自分のものとして持ち始めます。
この町では、他人と比べることよりも、自分の現在地を知ることが大事になります。CEFRのような世界基準で見てみる。TOEICや英検との違いを知る。CASECのような診断型テストで自分の感覚とのズレを確かめる。そうした作業を通して、「自分はいまここにいる」とわかることは、次に進むための大きな安心につながります。
英語学習が苦しくなる時、多くの場合は「現在地がわからない」ことが原因です。どこに向かっているのかもわからない。何が足りないのかもわからない。だから不安になるし、焦ってしまう。反対に、自分の位置が見えるようになると、必要以上に自分を責めなくて済むようになります。今の自分に必要なことがわかれば、旅はまた穏やかに進み始めます。
そして、この町でようやく気づく人も多いのです。英語は、誰かになるためのものではなく、自分の世界を広げるためのものだったのだと。話せるようになることはもちろん大切です。でも、その先にあるのは、英語を通して新しい景色を見ること、自分の人生に新しい風を入れることです。
英語を学んできた時間は、きっと単なる勉強の積み重ねではありません。うまくいかなかった日、続かなかった日、悔しかった日、ちょっと嬉しかった日。その全部が、自分だけの旅の一部です。そして、その旅の中で育ってきた英語は、誰のものでもない、自分だけの英語です。
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英語の旅は、世界でたった一つの物語

英語が話せるようになるまでの道のりは、人によって本当に違います。最初に出会うきっかけも違えば、つまずく場所も違う。早く進む人もいれば、ゆっくり景色を見ながら進む人もいます。だからこそ、誰かの旅と比べすぎる必要はありません。
大切なのは、自分の旅をやめないことです。たとえ迷っても、立ち止まっても、道を間違えたように感じても、その経験は無駄にはなりません。出会いも、別れも、分岐点も、そこで受け取った小さな贈り物も、すべてが自分だけの物語になっていきます。言葉にすると少し大げさに聞こえるかもしれません。でも、英語の旅を続けてきた人ほど、この感覚を静かに実感しているものです。
人生という旅は、世界でたった一つだけの、自分だけの物語です。あなたの人生のシナリオは自分自身の手で完成させるものなのです。英語の旅もまた、同じなのだと思います。もし今、あなたが旅の途中にいるのなら、焦らなくて大丈夫です。大切なのは、いまいる町を知り、次の一歩を自分の足で選んでいくこと。その先にはきっと、以前の自分では想像できなかった景色が待っています。
英語は、ただの勉強ではありません。人と出会い、自分と出会い、世界を広げていくための旅です。あなたの旅が、あなたらしい物語として、これからも静かに、でも確かに続いていきますように。これは、英語講師として切に願う、心の底からの願いでもあります。
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